中学生・高校生の方で「英検」とよく聞く機会があるかもしれません。
「英検」とは、「実用英語技能検定」と呼ばれる英語の資格試験です。
文部科学省が後援する公益財団法人日本英語検定協会が展開する語学検定ですので、民間の資格試験ではありません。その上、中学生の方なら、高校受験に有利に働く試験ですので、受験をおすすめします。
しかし、大学生や社会人の方なら、英検よりも「TOEIC」を受験することが就職・転職に優位となりますので、英検を受験するメリットはさほど存在しません。
英検の概要について
英検は、英検4・5級を除いて、1次試験ではリーディング・リスニング・ライティング能力を測り、2次試験試験では、面接方式で行われる語学検定です。
年に3回実施される語学検定ですので、受験の機会が多いのが大きな特徴です。
英検1級・準1級・2級・準2級・3級・4級・5級と難易度が分かれており、数字が少なくなるほど難易度が上がります。
いずれも、TOEICとは異なり、一定の点数を取得できなければ、合格とはなりません。
もちろん、TOEICとは問題形式や実施傾向が大きく異なる検定ですので、英検とTOEICの対策は別途行う必要がある点には注意してください。
英検の想定受験層について
英検4・5級:英語学習したての中学生
英検4・5級は、英語を学習し始めた中学生の受験を想定しています。
難易度も中学英語と同等ですので、中学校で普通に英語を勉強していれば、ほとんど誰でも合格できる検定です。
もちろん、英語に自信がある中学生の方は、4・5級をスキップして3級の受験を検討しても良いと思います。
英検4・5級では、面接が実施されません。
英検3級:中学3年生あたり
英検3級は、中学3年生の受験を想定したレベルとなっています。
英検3級を取得していれば、極端に偏差値が高い高校でなければ、高校受験の際にもアピールポイントとなる検定です。
3級で初めて、スピーキング能力を測る面接が実施されますが、中学校の英語の教科書をしっかりと把握していれば、ほとんど問題ないと考えられます。
英検3級の試験対策は、公立高校の入試問題にも役立つ上、英語対策の一環で進学塾でも受験を促されることもあります。
英検準2級:高校1・2年生あたり
英検準2級は、一般的に高校中級程度の難易度とされています。そのため、高校1・2年生あたりの受験を想定しています。
こちらも、高校で英語をしっかりと学習していれば、難易度も高くはないと考えられます。さらには、英語の面接対策も定期的に行っていれば、ほとんど問題ありません。
ただし、中学校で学んだ英語が身についていなければ、合格は難しいため、注意してください。
英検2級:一般的な大学を受験する高校生
英検2級は、高校卒業程度の英語力が求められる難易度です。イメージするなら、一般的な大学を受験する高校生にマッチする試験です。
試験問題も、大学入試共通テストに近い部分もありますので、大学受験の対策と並行して勉強しやすいのも大きな特徴です。
さらには、ある程度のレベルの大学であれば、入試で優遇される上、単位認定の基準にもなります。
英検2級を受けるレベルであれば、TOEIC対策も合わせて行うことで、英語能力を第三者に示しやすいのも大きな特徴です。
英検準1級:早稲田・慶応レベルの大学を受験する高校生・実用レベルの英語能力を求める社会人
英検準1級は、早稲田大学や慶應義塾大学といった難関大学を受験する高校生や、実用レベルの英語能力を求める社会人の方を想定したレベルです。
一般的にTOEICスコアでは、550点〜780点あれば合格レベルです。
出題される単語も難しいものが多数ある上、リーディングの問題の量が多いのも試験の特徴です。それに加えて、日常会話の英語だけでなく、科学技術や医療関係、新聞に出てくるような内容の問題が出題されるので、ある程度のバックグラウンドの知識も求められます。
試験対策では、日常から、日本経済新聞などを読んだり、各分野の日本語での入門書も読んでおくと優位です。
TOEIC対策と合わせて行うことで、シナジー効果も出やすいのも特徴です。
英検1級:ネイティブレベルの英語力を求める方
英検1級は、ネイティブレベルの英語力を求める方の受験を想定しています。
大抵の方であれば、英検準1級で問題ないことが大半ですが、大学では外国語学部に在籍していたり、海外留学を検討されている方、海外で働きたい方におすすめのレベルです。
もちろん、英検1級を取得していれば、大学によっては単位認定とされる上、就職・転職活動にも大きなアドバンテージが存在します。
しかし、一般的には就職・転職活動には英検よりもTOEICスコアを求める企業が大半ですので、英検1級よりもTOEICを優先すべきと言えます。
英検とTOEICって何が違うの?
一般的によくイメージする英語関連テストの英検とTOEIC。前者は、一定の点数を取得して合格しなければ、資格として認められませんが、TOEICは、点数がそのまま企業などに示す指標となります。
また、英検とTOEICは似たような問題が出題されることがありますが、前者は、”学問”として求められる英語、後者は、ビジネスシーンで求められる英語が必要です。
さらに、英検は小中学生から受験ができるのに対して、TOEICはある程度の英語能力がある方の受験が想定されています。
英検の面接とは?
英検で実施される面接ですが、基本的にはスピーキング能力を測るために実施されます。
もちろん、高校受験や大学受験で実施される面接とは異なるものですので、服装などにはあまり気にする必要はありませんし、しっかりと英語で受け答えができていれば問題ありません。
中学生・高校生の方は、学校の制服、大学生や社会人の方なら、あまり派手ではない私服やオフィスカジュアルがベターです。
1次試験で団体受験をされた方でも、2次試験は必ず、英検が指定する会場に赴く必要がある点はご注意ください。
まとめ:英検は自分のレベルにあった等級で受験可能
英検は自分のレベルにあった等級で受験が可能です。しかし、一定の点数を取得できなければ、不合格となって資格を取得できません。
また、英検は高校受験で優位となる資格ですが、大学生や社会人の方なら、英検よりもTOEIC受験が良いです。
一般的には、英検準1級までの合格を目指せばほとんど問題ありませんが、英検1級はかなりの難易度のため、あまり受験をおすすめできません。
しかし、自分の英語力のレベルを測る語学検定として、英検が日本で最大手な上、知名度も高いので、積極的な受験をおすすめします。